ユピスタでは自動車の技術革新についてこれまで何度か取り上げてきましたが、その一方で電動バイクも進化を続けています。日本での普及はまだまだこれから、といった段階にある電動バイクは、お財布にも地球にも優しく、メリットがいっぱい。バッテリーの開発が進んで航続距離が長くなり、安全性や快適性もアップした電動バイクの「今」を解説します。
電気自動車や電動アシスト自転車だけじゃない!ここまで来た!電動バイクの今
電気自動車と電動アシスト自転車の良いとこ取り?電動バイクとは
電動バイクは搭載したバッテリーを充電し、電力でモーターを回して走るバイクです。ガソリンバイクが排気量によって小型・中型・大型と分けられるように、電動バイクも出力できる電気の量(定格電力)によって小型・中型・大型に区分されます。一般的な電動バイクは原付扱いの0.6KW以下。公道を運転する場合は原付以上の運転免許が必要です。さらに、定格電力が大きくなると中型・大型二輪の免許が必要になります。どのタイプでもナンバープレートを取得して保険に入り、ヘルメットを着用して運転しなければなりません。
さまざまな種類のある電動バイクの中でもラインナップが充実しているのがスクーター型です。これは足元にステップがあり、両足を揃えて乗るタイプで、タイヤは22cm以下と小さめ。ちょっとした街乗りにぴったりです。また、自転車のようなペダルが付いたタイプもあり、バッテリーが切れてもペダルを漕げば走れるので「ハイブリッド型」と呼ばれることも。ただし、電源を切っていても正真正銘の「バイク(原付)」。電動アシスト自転車とは異なるので、ヘルメットや免許証をお忘れなく。
その他、収納に便利な折り畳み型や、キックボード型の電動バイクもあります。小回りが利いて電気の力で楽に移動できる電動バイクは、「自動車と自転車の良いとこ取り」と言えるかもしれません。ちなみに、遊具として使うことを目的とした子ども用の電動バイクは本物そっくりの凝った仕様のものが多く、バイク好きの親子なら見逃せないかも。
乗り心地も安全性もアップ!メリットいっぱいのイマドキ電動バイク
電動バイクには多くのメリットがあります。モーターで走行するので、エンジン音は静か。しかも瞬時に加速し、排気ガスを出すこともありません。ランニングコストが安いのも特長です。ガソリンバイクは1リットルで約30km走行できますが、レギュラーガソリン1リットルは170円〜180円ほど。一方、電動バイクはフル充電で平均20〜30km走行でき、かかる電気代は約20円程度。ガソリンの値上げが続いている昨今、この燃費の良さは魅力的です。さらに、電動バイクは(現時点では)車検も必要ありません。オイル交換やフィルター交換も不要なので、お財布に優しいモビリティ(移動ツール)だと言えるでしょう。
このようにメリットの多い電動バイクですが、デメリットもあります。充電に時間がかかる上、一度の充電で走れる距離も短く、車体価格もガソリンバイクに比べると高額です。
もちろん、こうしたデメリットをカバーするための開発も続いています。バイクメーカーの参入や新しいリチウムイオン電池の開発によって走行距離は徐々に長くなり、一度の充電で70km走れる原付タイプの電動バイクも登場しました。25分で80%という急速充電も可能になり、視認性の高いモニターなど、安全性を高める機能も充実しつつあります。車種によっては「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」も利用可能。今時の電動バイクは次世代モビリティとしても十分に現実的な選択肢となっています。
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バイク愛好者も思わず納得のスタイリッシュな大型電動バイクも開発されています。大手自動車メーカーの開発したある大型電動バイクは、一回の充電で160kmの距離を走ることができ、最高速度は時速130km以上です。別のメーカーの大型電動バイクは、3秒で時速100kmに到達し、航続距離は230km以上。さらに、あるイタリアのメーカーが「世界で最も高性能な電動バイクを目指した」という超ハイスペック電動バイクは、最高速度がなんと時速240km、航続距離は420kmを誇ります。
これなら本格的なツーリングを楽しみたいライダーも十分満足なスペックです。電動バイクはもともとガソリンタンクがないのでスリムですが、大型のものでもガソリンバイクに比べると比較的軽量で乗りやすい特長を持っています。
現在の最新技術は2輪でも転倒しない姿勢制御を現実にしようとしています。これは車体の傾きをセンサーが検知し、前輪を制御するのだとか。現段階ではガソリンバイクのみにおいて研究されている技術ですが、電動モビリティはこうした技術と相性が良いもの。電気自動車の世界では空飛ぶクルマさえまもなく実現されそうですが、近い将来、ライディングアシスト(転倒防止機能)や自動走行も可能な電動バイクが登場するかもしれませんね。
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