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推し活あるある?ディドロ効果 推し色にブラインド、揃えたくなる心理とは

2024.6.3

推しがいることをオープンにしていない人は、推し活をしている人全体のうちの約3割。こうした人たちにとって、推しバレしない推しカラーは、こっそりできる推し活です。仕事や勉強で使う文房具、アクセサリーもついつい推しカラー(メンカラ)で揃えたくなるもの。さらにブラインド仕様のグッズはコンプリートしたくなる。そんな無意識のうちに『揃えたくなる』心理を「ディドロ効果」といいます。グッズやツールを揃えたくなる推し活あるあるの心理について考えます。

身の回りのものを推し色で揃える グッズを買わずメンカラで楽しむ推し活

推し活

推し活のひとつには推しカラー、いわゆる「メンカラ(メンバーカラー)」を、身の回りの小物や服に取り入れるスタイルがあります。推しカラーとは、キャラクターの目や髪の色、着ている服の色などを、キャラの概念色として設定したものです。スポーツの団体競技などでよく見られるチームカラーのように、公式がキャラクターごとに色を設定する場合もありますが、たいていはファンの間でキャラの色が自然発生的に決められ、定着していきます。

推し活ブームは依然として続いていますが、推し活をしていることを周囲に隠している人は意外に多いようです。2023年に行われた推し活に関するある調査では、「自分が推し活していることをオープンにしている人」は74.2%でした。つまり、3割近くの人が周囲には黙っている、あるいは隠しているということになります。

そんなオタバレしたくない隠れオタクにとって、「推しぬい(推しをデフォルメしたぬいぐるみ)」や「アクスタ(アクリルスタンド)」などのグッズを持ち歩くのは中々勇気がいるもの。でも、推しカラーの服や小物ならオタバレせずにさりげなく、しかも堂々と持ち歩くことができるので、推し活を満喫することができます。

実際、身の回りにある一つひとつのものが推し色に揃っていくのは楽しいものです。いつの間にか身の回りが推しカラーだらけになっていたという人もいるかもしれません。そんなファン心理と深く関係しているのが、「ディドロ効果」と呼ばれる行動心理です。

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服も小物もメンカラで揃えたい!推し活に深く関わるディドロ効果とは

ディドロ効果の名は18世紀のフランスの哲学者、ドゥニ・ディドロに由来します。彼は友人から高価なガウンをプレゼントされますが、そのガウンを見ているうちに、自分の部屋が何だかみすぼらしいと感じるようになります。そこで、ガウンに見合う高価な家具やインテリアを購入し始めますが、ついには借金生活に陥ってしまいました。

新しく手に入れた物の雰囲気に他の物も合わせたい。この心理は後に彼の名を取って「ディドロ効果」と名付けられます。人間には元々自分の行動や身の周りのものを「統一したい、揃えたい」という本能があるそうですが、ディドロ効果は特に高価な物や値打ちがあると思える物を入手した時に発動します。

例えば、素敵な服を購入するとそれに似合う同じブランドの靴を買いたくなる。スマホを購入したら時計もスマホと連携できるスマートウォッチに変えたくなる。珍しい椅子を手に入れたらお揃いのテーブルが欲しくなる…こういう経験は誰にでもありますよね。ディドロ効果はマーケティングの手法として活用されており、同シリーズの家具で統一したおしゃれなショールームや、同じブランドの服を着せたマネキンもそのひとつといえます。

推し活でも同様です。スタートは推しカラーのシャープペン1本からかもしれません。しかし、そのうちに他の文具も同じシリーズで揃えたくなり、推しカラーのペンケースやスマホケースが手に入ると、今度は文具に合わせたバッグやパソコンが欲しくなる。これこそがディドロ効果の正体なのです。

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目指せコンプリート!ディドロ効果×ガチャで推し活をブースト

推し活

推し活の場合、ディドロ効果を強化させやすいのがブラインド商品です。ブラインド商品というのは、開けるまで中身の分からないアイテムのことです。

こうした商法は当たり付きのお菓子やくじ等の形で昔からありましたが、最近ではDVDや本の特典としてサイン付きのカードやグッズなど、何種類かのアイテムが銀色のアルミ袋にランダムで入るような方法も使われています。また、店舗限定や期間限定商品の販売が、いわゆる「ガチャ」形式で行われることも少なくありません。

こうなると推し活をしている人は、何とかして全種類を揃えたいという欲求が刺激され、コンプリートするまで買い続けることになります。これによって当然コスパは悪くなり、経済的な負担は逆に大きくなります。時には限定アイテムがオークションやフリマに途方もない高額で出品され、ファンの悩みや悲しみにつながることもあります。

もちろんブラインド商品にはメリットもあります。中身が分からないものを開封する時のスリル、時間をかけてひとつずつ揃えていくワクワク感、コンプリートした時の達成感はブラインド商品ならでは。また、ファン同士でアイテムを交換するなど、他のファンと交流することを楽しむきっかけになるかもしれません。どれだけ揃えているかはつぎ込んだお金と努力に比例することが多いので、推しに対して傾ける愛情をアピールすることもできます。

これはディドロ効果と同じく「揃えたい・コンプリートしたい」というファンの心理をうまくついたマーケティング手法と言えるでしょう。

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推し活は楽しんでこそ―メンカラも推しグッズもコンプリートは自分のペースで

推しグッズや推しカラーに囲まれて暮らすのは、ファンにとってとても楽しいことです。ただ、ディドロ氏は「自分はガウンの奴隷になってしまった。貧乏人は見栄を張らず気楽に過ごせるが、金持ちはいつも緊張の中にいる」と述べました。推し活もそうなっては本末転倒。次の推しグッズが欲しくなったら、「あ、ディドロ効果が発動しているな」と、楽しむぐらいの気持ちで推し活を続けたいですね。

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【執筆】ユピスタ編集部
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