スマートスピーカーに声をかけるだけで家電を操作し、自宅の環境を最適化できるスマートホーム。ただ、初心者には設定が難しそう、どの機器を選べば良いのか分からないなど、ハードルが高いのも事実です。そこで登場したのがシンプルなスマートホームを実現させる「Matter」という共通規格です。デバイス同士を簡単につなぐことができ、スマートホーム化を促進するMatterとそのメリットを解説します。
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スマートスピーカーに声をかけるだけで家電を操作し、自宅の環境を最適化できるスマートホーム。ただ、初心者には設定が難しそう、どの機器を選べば良いのか分からないなど、ハードルが高いのも事実です。そこで登場したのがシンプルなスマートホームを実現させる「Matter」という共通規格です。デバイス同士を簡単につなぐことができ、スマートホーム化を促進するMatterとそのメリットを解説します。
Matterは2021年に発表されたスマートホームのIoT標準規格です。Apple・Amazon・Googleなどの大手を含め、アメリカの数百に及ぶIT企業が参加している無線通信規格標準化団体(CSA)によって定められました。その目的は、スマートホーム製品同士の相互接続を可能にし、スマートホーム化のハードルを下げることです。
照明、テレビ、エアコンその他、ますます多くの家電がインターネットで繋がるようになり、IoT化が進んではいますが、それぞれの家電はメーカーごとに独自開発され、製品間の互換性が低いことは課題となっていました。スマートホーム化を進めるにはそれぞれの家電を独自のアプリで設定してから、それらをコントロールする音声アシスタント(スマートスピーカー)に接続する必要があります。しかし、そのためには知識も必要で、さらにIoTデバイスが10個、20個と増えるにつれて設定は複雑になるので、それがスマートホームの普及を妨げる原因となっていました。
さらに、新しく電化製品を購入する時は機能や自分の好みより、すでに持っているスマートスピーカーや他の家電との相性を考え、対応機器かどうかをまず考える必要がありました。そこで、MatterというIoTデバイス同士の「共通言語」を導入することによって、シンプルで利便性の高いスマートホーム化を目指そうとしているのです。
Matterの特徴は、シンプル(Simplicity)・相互運用性(Interoperability)・信頼性(Reliability)・安全性(Security)の4つにまとめることができます。
Matter対応の製品なら設定はとてもシンプル。Matter対応のロゴやラベルが貼られた製品を購入し、スマホでQRコードを読み込むだけ。セットアップは簡単に完了し、購入後すぐに使い始めることができます。
また、Matter対応の製品は前述のように異なるメーカー同士でもシームレスに連携します。CSAに加入しているApple・Amazon・Googleのスマートスピーカーなら、どのMatter対応製品でも操作できます。
さらに、Matterはインターネットが切断されても利用できます。これまでネットが利用できない時は、当然IoT家電は使えませんでしたが、Matterはローカルエリアネットワークで動作して通信経路を確保するため、停電の際にも家電を操作することが可能です。
加えて、Matterはセキュリティも強化されています。各デバイスは正規品であるという認証情報が保証されているので、より安全に利用することができるようになりました。通信方式もEthernet・Wi-Fi・Bluetooth(LE)・Threadに対応しているため、大抵の場合は既存のネットワークが利用でき、多くの製品に使用することができます。
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Matterの導入は消費者にもメーカーにも様々なメリットをもたらします。まず、消費者はデバイスごとの相性より、自分の好きなデザイン、必要な機能を優先して製品を選べます。設定も簡単なので、インターネット初心者でもスマートホーム化を始めるハードルがぐっと下がることでしょう。メーカー側にとってもMatterの対応製品は規格が統一されていてサポートしやすく販売しやすいので開発に集中できるなどのメリットがあります。
もっとも、Matterは登場したばかりの新しい規格なので課題もあります。2022年にはMatter version1.0が、2023年には1.2が発表され、そのたびに対応機器が増えてはいますが、未対応の製品が多いのも事実です。例えば人気のあるスマートリモコンやスマートプラグでMatterに対応しているものはまだまだ少数です。また、Matterには対応していても、すべての機能が利用できるわけではなく、一部の機能が利用できなかったり、手動で設定したりすることが必要な場合もあります。さらに、Matter対応機器は比較的値が張ります。
とはいえ、2024年にはMatter1.3が登場しますし、今後も新バージョンが発表されるごとに対応デバイスや使える機能は増えていくでしょう。Matterはスマートホーム化になくてはならないものになると予想されています。
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欧米に比べて日本はスマートホーム化が遅れがちだと言われています。Matterはそうした状況を大きく変え、より便利で安全な生活を実現してくれるでしょう。スマートホーム化によって家全体が最適化されることは、環境に優しい消費の実現にもつながります。そうなった時は1つのアプリで家中にあるすべてのデバイスを操作できるようになっているかもしれません。
※Ethernet及びイーサネットは、富士ゼロックス株式会社の登録商標です
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