子どもを取り巻く環境は、決して安全なものではありません。周囲の大人がどんなに気をつけていても、子どもたちは常に様々な危険に囲まれています。こうした中で役立つのが、24時間子どもを見守ってくれる最新テクノロジーです。GPS(全地球方位システム)やIoT(モノのインターネット)、さらにはAI(人工知能)を使った危険の予測など、子どもたちを守るテクノロジーの今を紹介します。
車置き去り防止センサー、GPSに見守りシステム。子どもを守るテクノロジー
GPSとカメラで子どもを見守る テクノロジーが猫の手も借りたい忙しさの助けに
子どもが事件や事故に巻き込まれるニュースは、本当に胸が痛むもの。車に取り残された子どもが熱中症で亡くなるなどの悲しい事件も耳にします。ある調査では5人に1人が「子どもを車に1人で残した経験がある」と答えていますが、私たちの「心がけ」にも限界があり、こうした事故は誰にでも起きる可能性があると言えるでしょう。そこで注目されているのが、最新テクノロジーを使った安全対策DX(Digital Transformation=デジタル技術による生活の向上)です。
車への置き去りに関しては、2023年4月から送迎バスに安全装置を設置することが義務化されました。そうした安全装置のひとつが「降車時確認式(押しボタン式)」。これは、バスの後方にボタンがあり、エンジンを切った後にそれを押さないと警告音が鳴る仕組み。また、「自動検知式」は車内のカメラやセンサーが取り残された子どもを自動検知して通知する仕組みです。
一方、子どもの側で自身の安全を守るシステムにGPSがあります。子ども用のGPSは年々進化しており、複数の人工衛星を利用して、より正確な位置情報を取得できるデバイスも登場。また、温度センサーが搭載されていて、子どもがいる場所の周辺温度が分かるものや、事故多発エリアや不審者目撃エリアに子どもが行くと、保護者のスマホに通知される機種も。1分ごとに情報更新が可能なGPSなら、通園・通学の時間にこまめなチェックができるので安心かもしれません。多忙な学校の教員や保護者に代わり、新しいテクノロジーが子どもたちを見守っています。
スマートセンサーにスマートロック、IoTとスマートホーム化で子どもを守る
IoTと連動することで安全性を高めたGPSもあります。こうしたシステムでは人工衛星だけでなく、周囲の無線LANや携帯基地局の電波も拾うことで、より精度の高い位置情報を取得可能。従来のGPSでは難しかった市街地や地下における位置情報も分かるようになりました。
GPSとIoTを連動させた見守りシステムは、すでに多くの自治体が取り入れています。コンビニやスーパー、郵便局や自販機などにあらかじめ基地局を設置しておき、専用のGPS端末を持った子どもがその場所を通ると、位置情報が自動的にクラウドサーバーに送信されます。これは、いわば地域の数千もの「目」が子どもを見守る仕組みです。子どもにビーコン(信号発信装置)やウェラブル端末(身に着けられる情報端末)を装着させ、登園や体調の管理を行う「スマート保育園・幼稚園」も登場しました。
各家庭における無線LANの設置が普及するにつれ、スマートホームも増加。家庭のIoT化も子どもの見守りに一役買っています。スマートロックを使って玄関ドアを指紋で開錠できれば、鍵をなくした・忘れたなどの問題が解決しますし、室内温度を自動調整できれば、室内で熱中症にかかる心配もありません。ドアや窓、リビングや玄関に見守りカメラやセンサーを取り付けている家庭もあります。不審な人物が自宅の敷地内に侵入すると、保護者のスマホやセキュリティ会社に通知されるので、安心して子どもをお留守番させることができますよね。
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車内の置き去り事故防止に迷子探しも AIの力で子どもを守る!
AIは子どもの安全に役立つ新しい技術です。GPS端末にもAIが搭載され、異常をより早く察知できるようになりました。AIを搭載したGPS端末は設定しなくても子どもの習慣を学習し、普段と違うことがあれば通知します。車の置き去りでも、AIカメラやAIセンサーが車内の画像を解析し、子どもが残されていれば自動で通知。また、園内や教室内の危険個所を学習・判断して危険を予測するAIアプリもあります。
ほかにもAIは様々な事件や事故から子どもを守っています。例えば子どもが迷子になった時、「こんな服を着ていたような…」という「あいまい」な情報からでも、迅速に迷子を捜すことのできる技術が開発されています。また、子どもがわいせつな自撮り画像を送るように強要されるという事件をたびたび耳にしますが、あるアプリは子どもがわいせつ画像を自分のスマホに保存すると、それを判別して親に通知します。子どもの日記やメールの内容からいじめのリスクを解析したり、子どもが発する声のトーンから気分を分析したりして保護者に警告するアプリも開発されました。
もちろん、GPSもIoTもAIも万能ではありません。セキュリティや子どものプライバシーに対する配慮という問題もあります。子どもを守るために一番大切なのは、今も昔も先生や保護者の「目」であることは間違いないでしょう。それらがあることを理解した上で、人の限界をカバーしてくれるテクノロジーを上手に活用していきたいものです。
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