近年たびたび耳にするようになったクラウドやサブスクは、インターネットを利用する上で個人にとっても企業にとっても欠かせないものとなっています。クラウドコンピューティングにはどのようなサービスがあるのでしょうか。SaaSやXaaSなどの用語を解説するとともに、サブスクリプションでクラウドサービスを利用するメリットやデメリットを検証します。
クラウドコンピューティングって何?XaaSやサブスクと同じもの?
クラウドコンピューティングって何?サブスクでITをレンタルするメリット
クラウドコンピューティング(単にクラウドということも)は、インターネット上で提供されるサービスや機能を、自社施設や自分のコンピュータ内に取り込まず、オンライン上で使用することです。特定のクラウドを自社専用として使う形態をプライベートクラウド、他社と共用する場合はパブリッククラウドと呼び、一定の金額を毎月/毎年支払うサブスクリプションが一般的なスタイルです。
近年では車でも、購入せず必要な時だけレンタルまたはシェアするサービスが普及していますが、クラウドもそれと似たサービスといえるかもしれません。実際、クラウドコンピューティングは「ITのレンタル」と呼ばれることがあります。一方、クラウドの反対、つまりサーバーやアプリケーションなどを自分で所有して運用することはオンプレミスと呼びます。
クラウドコンピューティングには多くのメリットがあります。まず、自分でハードウェアやソフトウェアを開発する必要がありません。必要な機能だけを導入し、サブスクリプションで支払えばすぐ使えるため、コストも抑えられます。また、どこからでも利用できるのもメリットです。アカウントを作っておけば、他人のコンピュータからでもログインして利用することができます。さらにはセキュリティやメンテナンスもサービス事業者にお任せ。アップデートするだけで最新セキュリティの監視下で最新の機能が利用できます。今や企業の7割がクラウドを利用しているという総務省の発表も納得の便利さですね。
ソフトからサーバーまで?クラウドで利用できるSaaSからXaaS
クラウドコンピューティングによって提供されるサービスは主に3つに分けられます。1つめはアプリケーションやソフトウェアをオンライン上で提供するサービスで「SaaS(サース・Software as a Service)」と呼ばれます。代表的なものとしてはWebメール、SNSなどのスマホアプリ、オンラインストレージ(ネット上でデータを保管するサービス)などが挙げられます。私たちにとっては最も身近なクラウドですね。
2つめのクラウド「PaaS(パース・Platform as a Service)」は、ソフトウェアやアプリの開発環境を提供してくれるサービスです。SaaSが車のレンタルサービスなら、PaaSは車を作る機械が揃った土地や工場を貸し出すサービスといえるかもしれません。開発に必要な機能が揃っているため、PaaSを使えば利用者はスピーディに作業を始めることができます。最近はノーコードでアプリを開発する「aPaaS(エイパース・Application Platform as a Service)」も増加しています。
3つめが「IaaS(イアース・Infrastructure as a Service)」で、サーバーやOSなどの基本的なITインフラを提供するクラウドです。必要な機能がセットになっているPaaSに対し、IaaSではより自由度が高く、柔軟性のある利用が可能です。なお、これらのサービスをまとめて、「XaaS(ザース・X as a Service)」と呼ぶこともあります。
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デメリットもあるクラウド選びは目的を明確に!最適な利用のための注意点とは
メリットが多いクラウドコンピューティングですが、デメリットもないわけではなく、導入前には注意が必要です。例えば、クラウドは基本的にネットに接続できない環境下では利用できません。ただし、サービスによっては必要なデータをダウンロードして保存する、設定を変更するなどの作業を行うことによって、ある程度の機能がオフラインで使える場合もあります。オフラインでの使用が考えられるなら、この点は確認しておきたいところです。
また、オンラインで使用している場合、そのサービスが終了してしまうと利用できなくなります。続けて使う際は似たサービスを探してデータを移すなどの作業が必要になり、余計なコストがかかるかもしれません。導入前に、これまで安定したサービスが提供されてきたか、今後も継続してサービス提供を受けられるかもチェックしましょう。さらに、ブロックチェーン技術(取引の履歴を暗号で鎖のようにつなぐ技術)によってセキュリティが向上してきたとはいえ、ネットワーク経由でサービスを利用する以上、不正アクセスによる改ざん・情報流出の可能性はゼロではありません。セキュリティ対策がしっかりしているかという点も確認することが必要です。
加えてクラウドコンピューティング、とりわけパブリッククラウド(不特定多数のユーザーと共同で使用するクラウドサービス)は自由度が低く、自社の需要に適合したサービスでない場合もあります。必要な機能は何なのかをきちんと把握し、業務内容に応じたサービスを導入すれば、クラウドのメリットを最大限に活用することができます。
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