ひとり1台のタブレット、子ども用携帯電話、スマートホーム。子どもがデジタル機器を当たり前に持つようになったからこそ、大人は今以上にデジタルを知ることが大切です。子どもの学びを支えると共に、デジタル力を養うガジェットが持つ、子どもの安全を守る機能やサービスをおさらいします。
子どもとデジタル 今だからこそおさらいしたい、リテラシーと安全とは
リテラシーの低さが思わぬトラブルに…子どもを狙うネット上の危険とは
インターネットは今の子どもたちにとって電気や水道と同じくらい当たり前のものになっていますが、その一方でスマホやインターネットを利用した犯罪やトラブルに子どもが巻き込まれる事例も増加しています。
その中には、誰でも簡単に閲覧できるネット上の掲示板やブログ、メッセージアプリなどに特定の誰かをターゲットにした悪口を書き込むネットいじめや、誹謗中傷を不特定多数に送信するチェーンメールなども見られます。何気ない投稿やプロフィールが個人情報を流出させる原因になったり、著作権の侵害に発展したりするケースも珍しくありません。オンラインゲームや配信にハマったり、スマホ依存となってしまう子や、高額な課金を発生させてしまう子もいます。
また、子どもに見せたくないような有害情報へのアクセス、出会い系サイトやアプリの利用、SNSを使って知らない人に呼び出されて性的被害を受ける、闇バイトの勧誘やフィッシング詐欺に遭うなどのケースも後を絶ちません。実際、SNSがきっかけで毎年1700人以上の子どもたちが児童ポルノや重要犯罪に巻き込まれています。悲しいことに、その結果、誘拐されたり、命を落としてしまったりする子どもたちもいるのです。
こうした事件やトラブルの中には、スマホやインターネットの利用について、もう少し知識があれば防げたものもあるかもしれません。我が子が被害者になるのを未然に防ぐことはもちろん、加害者にもならないようにするため、インターネットに関する正しい理解と判断である「ネットリテラシー」が子どもと保護者双方に問われています。
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有害サイトやアプリをシャットアウト!スマホやタブレットの子どもを守る機能
ネットトラブルから子どもを守る手段のひとつが「ペアレンタルコントロール」です。これは保護者が子どものネット環境を適切に整え、見守る機能のことです。
ペアレンタルコントロールは、iPhoneなら「設定」の「スクリーンタイム」から、Androidでは「ファミリーリンク」というアプリを使用して設定できます。「ファミリーリンク」では親のGoogle アカウントから子どもの Google アカウントを管理できるので、子どもがスマホをいつ・どれぐらい利用しているか、どんなアプリを使っているのか、どんなサイトを閲覧しているかなどを親のスマホから確認・管理することが可能です。
ペアレンタルコントロールの代表的な機能として知られているのが、年齢に応じた閲覧・使用の制限をかけられるフィルタリングです。現在、18歳未満の子どもがスマホを契約する場合はフィルタリングの設定が義務付けられています。この機能を使えば、インターネットの利用時間を制限したり、特定のアプリのインストールや課金を防いだりすることができます。
しかし、警察庁が実施した令和4年の調査では、SNSがきっかけでトラブルに巻き込まれた子どものうち、フィルタリング機能を利用していたのはわずか11.9%でした。子どもが高学年になるほどフィルタリング機能を外してしまうケースが多いようです。ペアレンタルコントロールは子どもを守るのに有効ですが、その活用は各家庭のリテラシーにかかっています。
ネットの安全な利用に不可欠!?親子で学びたいネットマナー&ITリテラシーとは
もちろん、システムを導入しただけでは、すべてのトラブルを防ぐことはできません。まず、家庭内でインターネットの利用について話し合い、ルールを決めておくことが重要です。見かけ上は匿名でも投稿者の特定ができること、他人の著作物を無許可でアップロードする行為は犯罪であること、個人情報を公開することで生じる危険性、人前で端末のロックを解除する時の注意点など、スマホを持たせる時にはこれらのポイントをネチケット(インターネット利用時のエチケット)として教えましょう。
また、ネット上の流行や危険については保護者自身も知っておく必要があります。自分の子がどんなアプリを使用しているのか、よく知らないという保護者は少なくありません。どのアプリにどんな危険があるかということは、実際にそのアプリを使ってみないと分からないものです。
例えば、ある人気アプリでは通知から2分以内に写真を撮ってシェアすることがルール。時間制限があるゆえに気持ちがはやり、十分な配慮なしに撮られた無加工の写真が投稿され、そこから漂うありのままのリアルさが受けています。ただ、一方でこのように撮影された写真が個人情報流出のリスクを高めることは言うまでもありません。10代を中心に多くの人たちがインストールしている位置情報共有アプリも、第三者に居場所が知られることから、ハッキングやストーカーなどの被害を招くリスクが高いものの一つです。現代社会ではこうした便利なツールが入手しやすいだけに、面倒でも子どもたちの間でどんなアプリやサービスが人気なのか、その仕組みや使い方を知るための手間をかけることは重要です。
もちろん、保護者自身もネットマナーやITリテラシーを守り、上手にスマホを活用することで子どものお手本になりたいものです。
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システム×親子のルール作りでスマホトラブルを回避
家庭内でインターネットを利用する時のルールを作ってフィルタリング機能を使用している場合、これらを実行していないケースに比べてトラブルに遭う確率が大きく下がることが分かっています。ほとんどの子どもが自分専用のスマホやタブレットを持っている今、安全なスマホの使い方やインターネットの活用法を教えることは必要不可欠です。まずは保護者である親が自らインターネットへの向き合い方を見直し、子どもと一緒に納得できるルールを作るところから始めたいものです。
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