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リチウムイオン電池の寿命 スマホや電気自動車のバッテリー劣化を防ぐ使い方とは

2024.8.26

繰り返し使えるリチウムイオン電池は、スマホから人工衛星まで、私たちの周囲にある様々なものに使われています。しかし、充電しても減りが早い、フル充電できなくなった、バッテリーが膨らむ…などなど、身近な電池だからこそお悩みも多いもの。そんなリチウムイオン電池の仕組みと、寿命を見極める方法、さらに劣化を防ぎ長持ちさせるコツをご紹介します。

スマホや人工衛星、EV車のバッテリー…活用の広がる、リチウムイオン電池とは

バッテリー寿命

リチウムを含んだ金属を使って作られているリチウムイオン電池は、正極と負極の間をリチウムイオンが行き来することで充電・放電を行う二次電池(充電して繰り返し使える電池)です。素材によって「リン酸鉄系」「三元系」などの種類があり、用途が違えば見た目の形状も円筒形や四角に分かれます。

リチウムは自然界に存在する非常に小さくて軽い鉱物です。学生時代に「スイ・ヘー・リー・べ・ボクノフネ…」の語呂合わせで元素記号を覚えた方も多いと思いますが、その3番目に当たる「リ(Li)」がリチウム。元素周期表は基本的に軽いものから順番に並べられているので、リチウムは水素やヘリウムに次ぐとても軽い物質ということになります。

この軽量なリチウムを使うことによって鉛蓄電池より軽く、同サイズでも大容量の電力を蓄えられる電池が作れるようになりました。さらに、リチウムイオン電池は長寿命で急速充電ができ、安全性の面でも優れています。そのため、スマホやパソコン、家電、EV自動車や航空機、作業機、ドローンや人工衛星など、様々なデバイスのバッテリーとして、私たちの生活になくてはならないものとなりました。

リチウムは今や「白いダイヤモンド」と呼ばれるほど重要な鉱物となっていますが、地球上に存在するリチウムの約6割はウユニ塩湖の湖底に眠っているのだとか。天気の良い日になると鏡面のように幻想的な景色となる湖の湖畔では、そうした美しい景観とは対照的にリチウムを巡る激しい争奪戦が起きているのです。

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リチウムイオン電池は長寿命ですが、使っているうちに電池に貯められる電気の量が減ってきます。電池の寿命を表す目安のひとつに「サイクル数」があります。これは充電が100%から0%になるまでを1サイクルとして数えるもので、一般的なリチウムイオン電池は500サイクルを超えると容量が大きくダウンしてしまいます。

充電を毎日するスマホのリチウムイオン電池なら、約1年半〜2年で500サイクルに達します。スマホの購入時には「2年過ぎると不具合が出る可能性が高くなります」と言われることがありますが、それはこのサイクル数を根拠としているわけですね。

では、リチウムイオン電池の寿命が近づくと、どんな症状が現れるのでしょうか。スマホや家電なら、何時間充電してもいっぱいにならない、100%充電してもすぐバッテリーがなくなる、ガスが発生して電池が膨らみ、デバイスが変形するといった現象が見られるようになります。スマホのバッテリーは基本的に自分で交換することができないため、寿命が近いと感じたら店舗に持参して相談するようにしましょう。また、携帯ゲーム機や電動シェーバーなどの小型充電式電池を自分で処分する場合は、ショートしないように電池の端子部分を絶縁テープで巻き、リサイクル協力店や自治体が設置する回収BOXなどに持ち込めば安全に処分できます。リチウムイオン電池を原因とする火災の発生を未然に防ぐためにも、使えなくなった電池を処分する際は自治体の回収方法を確認しましょう。
『協力店・協力自治体』検索サイト
リチウムイオン電池搭載製品の出火危険(東京消防庁)

ちなみにハイブリッド車はバッテリーの寿命が来てもドライバーに分かる症状がほとんどないので、予期せぬ事態によるバッテリー上がりを避けるためには定期点検や車検時のチェックが欠かせません。EV車の補機バッテリーの寿命は3〜4年、交換費用の相場は3〜4万円と言われています。

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リチウムイオン電池のバッテリーを長持ちさせるには?安全な使い方のコツ

バッテリー寿命

使っている期間が長ければ寿命が来るのは仕方ありませんが、それでもやり方次第で電池をより安全に長く使うことができます。

充電の方法は中でも特に大切で、0%と100%の状態を避けるのが基本です。充電が0%(完全放電)や100%(満充電)の状態が続くと電池は劣化し始め、バッテリーとして機能しなくなることさえあるのです。そのため、0%になってから充電するのではなく、20%あたりで充電を開始して80〜85%あたりで停止するのがベスト。普段は使っていないスマホも、今後使う予定があるならば、時々電源を入れて充電し、50〜70%程度の状態で保管しましょう。

また、リチウムイオン電池は熱に弱いので、高温での使用・保存もできるだけ避けます。メーカーによるとリチウムイオン電池の最高許容周囲温度は約45℃とされています。日本では屋内外に関わらず気温が45℃を超えることはまずありませんが、路面や壁面から熱が反射する街なかのベンチや、アスファルトの近くなどでは50℃を超えることも珍しくはありません。このような環境だけでなく、お風呂場や真夏の車内などで長時間使用したり、放置したりするのは避けたいものです。

そして、これはハイブリッド車の場合も基本的に同じです。週に1度は乗車して1時間ほど車を走らせて充電しておく、夏場は熱がこもらないようガレージの換気をするなどに注意すれば、バッテリーのトラブルを防ぐことができ、より長く使い続けることができるでしょう。

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【執筆】ユピスタ編集部
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