昨今、脱炭素社会への実現に向けて、世界では電気自動車へと移行する動きが見えてきています。また電気自動車の技術の成熟とともに、値段の低価格化に向けた取り組みも。「ゼロエミッション」を達成するため、2030年までにガソリン車をゼロにするとした英国のように、国として普及を推進するところも増えてきました。一方で、電気自動車の普及には充電施設の拡大も急務となっています。
今回は電気自動車の普及に向けた今と未来についてお話します。
昨今、脱炭素社会への実現に向けて、世界では電気自動車へと移行する動きが見えてきています。また電気自動車の技術の成熟とともに、値段の低価格化に向けた取り組みも。「ゼロエミッション」を達成するため、2030年までにガソリン車をゼロにするとした英国のように、国として普及を推進するところも増えてきました。一方で、電気自動車の普及には充電施設の拡大も急務となっています。
今回は電気自動車の普及に向けた今と未来についてお話します。
ゼロエミッションとは、人間の活動から排出される有害物質を限りなくゼロにしようとする考え方や方法です。電気自動車の普及は、地球温暖化に影響するCO2の排出を減少させるために、非常に重要です。
EU(ヨーロッパ連合)は、2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年と比べて55%削減し、さらに2050年までに実質ゼロにする目標を掲げています。この目標では、2035年以降に販売する新車を、排気ガスを出さない「ゼロエミッション車」にするとし、ハイブリッド車を含むガソリン車やディーゼル車の販売を、事実上禁止する方針を盛り込み、話題となりました。
日本でもこうした世界の動きに合わせて、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で、遅くとも2030年代半ばまでに、販売する新車は100%電動車(プラグインハイブリッド車なども含む)にするように措置を講じることになりました。こうした動きが電気自動車普及の足掛かりになるとみられています。
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実際に電気自動車の普及を進めていくにあたって、課題のひとつとなるのが価格面です。従来、同一のグレードでは、ガソリン車よりも電気自動車は100〜200万円高い価格設定が一般的で、その価格差をいかに縮めるかがカギとなります。
2020年には、世界の電気自動車の販売台数は約4割増加しました。補助金なしでも電気自動車の価格が同等のガソリン車やディーゼル車の価格を下回ることになれば、電気自動車の販売台数は急速に成長していくことでしょう。
そのために求められているのが、リチウムイオン電池の低価格化です。リチウムイオン電池は生産体制のさらなる整備と、また素材の使い分けによってもさらにコストが下がることが見込まれています。例えば“リン酸鉄系”のリチウムイオン電池は、寒冷地の走行に向かないなどの一部制約はあるものの、低価格化の一因として期待されています。
またリチウムイオン電池に代わる、いわば”ポスト・リチウムイオン電池“として、全固体電池という新しい技術が注目を集めています。従来の電池は液体の電解質を必要とします。そのため液漏れを防ぐための強固な容器が必要でした。しかし全固体電池は液体の電解質を必要としない、”すべてが個体”の電池です。そのため変形により薄い層を重ね小型化することや大容量のバッテリーをつくることも可能となります。
一方で電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の普及には充電施設などインフラの整備も欠かせません。政府は、2030年頃を目途に急速充電器を3万基まで増やす計画を打ち出しているほか、燃料電池車(FCV)向けの水素ステーションの設置数も2025年には、2020年の2倍となる320カ所にするという目標を掲げています。
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電気自動車の普及は、社会にとっていくつかの良い効果があります。例えば電気自動車は従来のガソリンエンジン車とは異なり、エンジンによる騒音や振動がありません。
また電気自動車は、太陽光発電や断熱によりエネルギー収支をゼロにする住宅=ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)と組み合わせることで、特に災害時に役立てられます。V2H(Vehicle to Home)に対応した電気自動車であれば、災害時や停電時にバッテリーに蓄えられた電気エネルギーを住宅に使用できます。もしものときの備えとして電気自動車の活躍が期待されています。
そして最も大きな意義はやはり脱炭素社会の実現。私たちの暮らす地球の環境を持続可能なものにするためにも、地球温暖化を招くCO2排出の削減は急務です。今後、電気自動車の価格が下がることで普及がさらに進み、電気自動車が公道の主役となる未来はそこまで来ています。
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電気自動車の価格が下がり、誰もが電気自動車をチョイスできる時代が近づいて来ています。それは持続可能な未来を選択することにもつながるものです。地球温暖化阻止に直結するイノベーションとして、電気自動車の普及に向けて世界の熱いまなざしが向けられています。
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