あらゆるモノやコトがデータ化される社会で、データフィケーション(Datafication=データ化すること)はますます重要となっています。スマートフォン、産業用機械、オフィスアプリケーションからAI 搭載家電まで、多くのデバイスが日々あらゆるデータを収集しています。それに伴い、こうした膨大なデータを入力し、保存する労力は増大しています。これを自動化するのが、RPA(Robotic Process Automation=人が行う定型的な作業の自動化)です。様々な企業で導入されて業務効率化を手助けし、DX化を推し進めるRPAについて解説します。
RPAって何?データフィケーションと自動化で進むDX化とは
メール送信も情報取集もお任せ!PC内の仮想ロボットRPAとは
RPAとは、指定したパソコン作業を自動で行ってくれるツール、あるいは技術のことです。今や働くロボットはすっかりおなじみとなり、工場、レストラン、一般家庭でも多くのロボットが働いています。でも、オフィスで事務作業をこなすロボットにはなかなかお目にかかれませんよね。RPAは、まるでパソコンの中で働くロボットのように、様々なパソコン作業を自動的に行ってくれます。
RPAが得意とするのは、データの登録、web上の情報収集、定型文メールや定型レポートなど、手順が決まっている定型化された作業です。作業を自動化するという点では、表計算アプリなどのマクロとやや似ているかもしれません。しかし、マクロは通常ひとつのアプリケーション内だけで動かすものですが、RPAは様々なアプリケーションをまたいで実行することが可能です。
例えばweb上である情報をサーチし、集めたデータを表計算アプリに転記するという仕事があるとします。専用のアプリケーションソフトを起動してスタートボタンを押すだけで、RPAはブラウザを立ち上げ、URLを開いて情報をコピーし、次に表計算アプリを立ち上げて特定のセルにデータをペーストする。これらを自動で実行してくれます。同様の動作をするマクロを作るにはそれなりの知識が必要ですが、RPAなら比較的短時間でマスターできるので、自分用の「ロボット」を開発することも可能です。
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RPA導入のメリット――加速するデータフィケーションとDXとは
RPA導入には様々なメリットがあります。まず、RPAは人間と違ってメールを誤送信することも、うっかりデータを消してしまうこともありません。RPAを導入すれば、パソコン作業での人為的なミスを減らす、というよりほぼなくすことができます。もちろん、データの持ち出しや紛失などの心配もありません。
さらに、RPAは仕事に疲れたり飽きたりすることもないので、正確な作業を何時間でもスピーディに続けることができます。定型メールの送信や日報の作成といったルーティンをRPAに任せれば、業務はよりスピーディに回すことができるようになります。従業員は空いた時間を本来の業務に使うことができるので、顧客の満足度だけでなく従業員自身の満足度もアップ。生産性が上がって社内の働き方改革の実現にも一歩近づき、人件費などのコスト削減にも繋がるかもしれません。
前述のように、RPAはシンプルで開発しやすいこともメリットです。経済産業省は、2030年には最大79万人のIT人材が不足する可能性について発表しました。しかしRPAなら特別なスキルを持たない人でも、数時間〜数日勉強すれば自社専用のRPAを開発することができます。
もちろん企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)にもRPAは欠かせません。今後IoT(モノのインターネット)が当たり前になるにつれ、さらに多くのモノやコトがデータ化され、ビジネスに活用されていくでしょう。そうしたデータフィケーションの過程において、RPAは大いに役立つと考えられます。
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RPAの導入で効果を上げるには?DX化に役立つチェックポイント
RPAはすでに多くの自治体や企業で導入され、大きな成果を上げています。例えば神奈川県庁は2019年からRPAを導入しました。新型コロナウイルス感染者の情報を把握・支援するためのシステムをRPAで自動化し、年間数千時間の労力削減を達成しています。また、ある大手金融機関では2016年からRPAを導入。年間で77万時間のPC作業を自動化することに成功しました。今後、人間が行う業務の8割をRPAで自動化することを目指しているそうです。
とはいえ、RPAでこうした高い成果を上げるには、導入前の十分なリサーチが必要です。当然ながらRPAにできる仕事は限られており、臨機応変に融通を利かせることが求められる仕事はできません。自社内のどの仕事を自動化したい(できる)のか、自動化で効果がありそうな業務は何かを事前にピックアップしておきましょう。
その後に様々なRPAツールのメリット・デメリットを調べて自社の業務に最も適したものを選びます。また、本格導入の前にテスト導入して効果を確認し、導入後も定期的に効果を検証することが重要です。
最近はRPAとAIを組み合わせることで、より幅広い業務が行えるシステムも登場しています。AIが人間に代わって考え、PRAに指示を出すようになれば、今よりさらに多くの仕事が自動化されるでしょう。
RPAの導入で実現!?社内のDX化とクリエイティブな働き方
ある調査によると、世界中に存在する6割の仕事では30%のタスクが自動化されると言われています。今後、RPAはますます必要な存在となるに違いありません。ロボットに任せられる部分はロボットに任せ、私たちは自分にしかできない仕事に注力することで、より良いサービスを提供できるようになることでしょう。
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