「21世紀の石油」と呼ばれる半導体。現在は台湾のメーカーが代表格として知られていますが、実は私たちが使っているスマホやコンピュータなど、様々なガジェット(利便性の高い小型電子機器)のほとんどに半導体が使われていることはご存じでしょうか。半導体とはそもそも何か、基本知識をおさらいします。
半導体とは?「21世紀の石油」と呼ばれる半導体の基礎知識
半導体とは?導体と絶縁体の中間的性質が電気の流れを制御
半導体とは、金や銀のような電気をよく通す「導体」と、ビニールやゴムのような電気を通さない「絶縁体」の中間的な性質を持つ物質、またはこの物質で作られた製品を指します。半導体は温度や圧力を変えたり、不純物を混ぜたりすると性質が変わるため、電子機器の制御にはとても便利。まるでスイッチのようにオンオフを切り替えたり、ある方向にだけ電気を流したりすることができます。
こうした性質を持つ物質にはいくつかの種類がありますが、半導体製品の材料としてよく利用されるのは「シリコン(ケイ素)」です。シリコンは土や水や樹木など、様々な物質に含まれており、地球上で2番目に多い「ありふれた元素」。しかも、加工がしやすいという性質を持ちます。ピンときた人もいるかもしれませんが、IT関連企業や研究所の集まる「シリコン・バレー」、この名称も半導体の「シリコン」に由来しているのです。
半導体部品(製品)は、光を電気エネルギーに変える、情報を保存する、演算処理やデータ制御を行うなど、機能によっていくつかの種類に分類できます。しかし、シリコンから製品になるまで500以上もの工程が必要であり、加えてその性能は「18か月で2倍」と言われるほど日々進化しています。必要な量の半導体を供給するのは難しく、私たちがニュースでよく耳にする「半導体不足」も、需要と供給のバランスが崩れることが主な原因となっています。
トランジスタラジオからLEDまで―半導体150年の歴史
半導体の歴史は意外に古く、1870年代までさかのぼります。鉱石に整流作用があることが発見され、鉱石を使ったダイオードが開発されました。ダイオードは電流を一方向に流す部品ですから、これはまさに半導体製品の誕生です。1940年には半導体を材料に、トランジスタが発明されます。トランジスタは小さなゲートを開け閉めして電流をコントロールする役割を持っており、この発明によってラジオや計算機は小型化され、飛躍的に進化しました。1970年代にはトランジスタを集積したICが開発され、電子製品のさらなる小型化・高機能化が進みます。
その後もICの集積度は向上を続け、今ではチップ1つの上に500億を超えるトランジスタが詰め込まれることもあります。こうした半導体は私たちの生活をより便利にしてきました。スマホ、テレビ、LED電球など、あらゆる家電に半導体が使用されています。エアコンが室温を快適にコントロールしたり、炊飯器が「火加減」を微妙に調節しながらご飯をおいしく炊き上げたりできるのも、半導体のおかげ。もちろんパソコンにも半導体は使用されており、例えば最近では半導体メモリを使った半導体ストレージにより、非常に少ない電力で膨大な資料を保存できるようになっています。
さらに銀行のATM、インターネット、医療や高齢者介護、電車の運行など、半導体は社会インフラにも大きく貢献しています。この150年で半導体は私たちの生活に欠かせないものになりました。
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省エネ化、効率化。半導体技術の進歩で地球環境への負担も軽減
IoT(モノのインターネット)時代を迎え、半導体の重要度はますます高まっています。超小型化・超集積化された半導体でセンシング(検知器による情報取得)技術が進歩。ウェアラブル(装着型)端末はますます小さく薄くなり、私たちは日々気軽に健康をチェックし、異常にも早く気づけるようになりました。超高速データ通信によって映像処理技術も進化し、今や家庭のテレビで4Kや8Kなどの迫力ある高精細映像を再生することができます。近年、活用が進むAIや注目のメタバース(仮想空間)にも半導体は欠かせません。
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半導体技術はとりわけ自動車産業に大きく関わっています。衝突防止システムや様々な角度からの映像が映せるビューカメラには、最新の半導体技術が使われています。近い将来、半導体は安全性や燃費を向上させるだけでなく、クルマの自動運転さえ可能にしようとしています。半導体技術が量子コンピュータを実現させれば、多くのクルマが自動運転で走行するようになり、結果として交通事故は激減し、私たちはもっと有効に時間を使えるようになるでしょう。
電子機器は半導体によって超小型化され、そのことが効率化、省電力化を可能にしました。また、近年ではそれぞれの機器に応じた電力制御が行えるパワー半導体と呼ばれるものの研究開発も進んでいます。半導体は私たちの生活を安全で快適なものにすると同時に、環境への負担も軽減しているのです。
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地球にも優しい半導体はICT時代にますます欠かせない存在へ
生活をより便利にするだけでなく、地球にも優しい半導体技術。今後はさらなる小型化が進み、市場規模も拡大していくことが見込まれています。半導体はICT時代にとって、ますます欠かせない存在となっていくことでしょう。
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