今の私たちにとって、データ管理のスキルは最も基本的かつ重要だと言えます。日々使っているコンピュータにデータを記憶・保存する「ストレージ」とは?また、おなじみのHDD(ハードディスクドライブ)に変わる新たな記憶媒体として登場したSSD(ソリッドステートドライブ)の特徴は?それぞれの記憶媒体が持つメリット・デメリットと、ストレージの上手な管理について復習します。
ストレージとは?SSDとは?いま注目される記憶媒体の進化
ストレージとは何か?よく聞く言葉を正しく理解する
英語の「ストレージ(Storage)」は「倉庫」「貯蔵」「保管所」を意味しますが、コンピュータ関連の分野ではデータを保管・記憶する場所を指します。机の引き出しのように、ファイルや写真などのデータを入れておけば、削除しない限り保存が可能。なお、ストレージはメモリと混同されがちですが、ストレージが引き出しなら、メモリは机の天板部分。メモリが大きければ複数のアプリを広げてもスムーズに作業ができますが、電源を切ると「メモリ上」のデータは消えてしまいます。
ストレージには大きく分けて、3つの種類があります。まずは購入した時点で端末に内蔵されている、内部(内蔵)ストレージ。2つ目は、USBメモリやSDカードのように、端末に接続して使用する外部ストレージ。DVDや外付けのHDDなどもこれに含まれます。そして、3つ目はオンラインストレージ。これはインターネットサービスで無料あるいは月額の料金を設定して貸し出されるストレージで、代表的なものとしてはGoogleドライブやiCloudなどがあります。
☆あわせて読みたい
・クラウドコンピューティングって何?XaaSやサブスクと同じもの?
・スピードクラス?容量?SDカードの規格の違いと選び方とは?
スマートフォンでもパソコンでも、使っているうちにデータが増えるもの。また、アップデートを繰り返せばストレージも消費されます。引き出しがいっぱいになれば新しいモノが入らないだけでなく、必要なモノを取り出すのに時間がかかり、作業効率が落ちますよね。ストレージもいっぱいになってくると、新しいアプリやファイルが入りきれなくなるだけでなく、起動や処理をする時の速度が落ち、突然シャットダウンすることさえあります。できればいつも2〜3割の空きは確保しておきましょう。
SSDとはなにか?HDDと何が違うのか
内蔵であるにしろ外付けにしろ、コンピュータの記憶媒体として中心を担ってきたのは、これまでHDDというデバイスでした。これは2.5あるいは3.5インチ(6〜8センチほど)の磁気ディスク(プラッタ)と磁気ヘッドでデータを書き込んだり読み込んだりする仕組みを持った機器です。大容量のデータをリーズナブルに保存できるため、長らくストレージ界の主役となっていました。
ただ、HDDにはデメリットも。データを処理するにはヘッドがディスク上を移動する必要があるので、その「移動時間」の分、処理に時間がかかります。また、プラッタが高速回転しているので多少の動作音がしますし、回転中(稼働中)に衝撃が加わるとヘッドが損傷する恐れもあるため、持ち運びには注意が必要です。
こうした課題を一気に解決するのが、最近よく目にするSSD(ソリッドステートドライブ)という記憶媒体です。SSDは半導体素子メモリに直接データを書き込むので、ヘッドの「移動時間」が不要。そのため、非常に高速でデータを処理することができ、そのスピードはHDDと比較すると約3〜5倍。起動速度もはるかに速くなります。ディスクやヘッドがないので衝撃に強くて動作音も静か、と言うより音をほとんど出しません。軽くて小さいのでパソコンも小型化でき、消費電力も小さいのでバッテリーも長持ち。SSDは今後のストレージ界における新たな主役となっていくかもしれません。
☆あわせて読みたい
・半導体とは?「21世紀の石油」と呼ばれる半導体の基礎知識
SSDの容量不足による問題と容量確保の方法
コンパクトで高速処理が可能なSSDですが、もちろん課題はあります。そのひとつが容量の問題。HDDは最大容量が大きく、10TBを超えるものも登場しています。しかし、SSDはまだそのレベルに到達しておらず、一般的なパソコンでは256GB〜1TBといったところが中心です。さらにHDDと比べて値段も割高。もっとも容量や価格の差は徐々に縮まっており、いずれはHDD並みの容量とお値段のSSDが登場するかもしれません。
その日が来るまではスピード重視か、容量重視か。あるいは据え置きで使うか、モバイル環境で使うかなど、コンピュータを使う環境に合わせたストレージ選びが大切です。また、オンラインストレージや外付けストレージ、HDDなど複数の記憶媒体と組み合わせて使うことも必要となるでしょう。
さらには、あまり知られていないことですが、SSDには「書き換え寿命」があります。目安は約5年。1000〜1万回ほど書き込み・消去を繰り返すと劣化すると言われていますので、毎日大容量のデータを書き込む作業をしている人は要注意。もし処理速度が遅いと感じたら早めにチェックし、不要なデータやキャッシュの整理や、必要なデータのバックアップをしましょう。
もちろん、パソコンをつけっ放しにしない。高温の車内に放置しないなどの基本的な使い方は、どんなストレージを使っていても重要です。
ストレージの特徴を知り、上手に長生きさせよう
ネット社会の現代において、データ管理は最も重要なスキルのひとつ。ストレージの特性を理解することで、安全かつ上手にコンピュータを使いこなしましょう。同時に、新しい技術によるコンピュータの進化も楽しみにしたいものです。
☆あわせて読みたい
・いまさらだけどペンタブと液タブってどうなの?絵を描かなくても使えるの?
-
SOCIAL
アーカイブとは何か?故人を生き返らせるライフログやAIチャットボット
どんなに科学が進歩しても時間を止めることはできません。その代わり、私たちは未来への遺産を鮮やかなまま...
TECHNOLOGY
クラウドコンピューティングって何?XaaSやサブスクと同じもの?
近年たびたび耳にするようになったクラウドやサブスクは、インターネットを利用する上で個人にとっても企業...
TECHNOLOGY
半導体とは?「21世紀の石油」と呼ばれる半導体の基礎知識
「21世紀の石油」と呼ばれる半導体。現在は台湾のメーカーが代表格として知られていますが、実は私たちが...
TECHNOLOGY
スピードクラス?容量?SDカードの規格の違いと選び方とは?
ゲーム機やドラレコに欠かせないSDカード。でも、いろいろな種類がある上に、値段もそれぞれ違います。ラ...