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AIと画像認識で進化?スマホで本人確認eKYCの非対面オンライン契約にかかる期待

2024.7.8

スマホで撮った免許証の写真を自撮りの写真とあわせて本人確認に使う「eKYC」。このeKYCによってオンラインでの本人確認が可能となり、わざわざ店舗に赴くことなく銀行口座を開設したり、スマホの契約を行ったりすることができるようになりました。さらに、AIや画像認識技術が進歩したことで、本人確認はよりスピーディに、より安全になっています。そんなeKYCの仕組みやメリット・デメリットを解説します。

免許証やマイナンバーカードで 本人確認がオンラインでできるeKYCとは

eKYCは「本人確認(Know Your Customer)」の前に「電子的な・オンライン上での」を表すelectronicがついた言葉で、その名の通り、本人確認をオンラインで完結させる方法のことです。eKYCにはいくつかのスタイルがありますが、主流ともいえるのは手続きの際にリアルタイムで撮影した自撮り写真と、運転免許証やマイナンバーカードなど本人確認書類の画像データをネット上にアップロードする方法です。

従来、対面以外の本人確認は免許証のコピーや住民票の写しなどを郵送することで行われてきました。しかし、最近では多くの手続きがオンライン化されており、本人確認も例外とはいえなくなっています。ただし、対面以外で行う本人確認には様々な問題がつきまとうのも事実です。

例えば免許証を改ざんしたり、インターネットで入手した画像を加工したりして、それを本人確認書類として提出するのは、郵送でもアップロードでもそれほど難しいことではありません。偽造書類で作成された口座は、犯罪のために使用されます。犯罪組織への資金提供や、犯罪で得た収益のマネーロンダリングなど、本人確認システムを悪用した犯罪は世界中で横行しています。
こうした状況を受けて2018年に犯罪収益移転防止法が改正され、本人確認の方法が厳格化されることとなりました。郵送による手続きで本人確認を行う場合、必要な書類が1種類から2種類に増えたのです。同時によりスピーディで厳格に本人確認が行えるeKYCも認められました。

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『eKYCで来店不要』が双方のメリット 本人確認書類郵送不要で業務効率化

eKYC

eKYCには多くのメリットがあります。まず、利用者にとって最大のメリットは書類を揃えてお店に行ったり郵送したりする手間が不要となり、カメラ付きのスマホさえあればいつでもどこでも本人確認の手続きが行えることです。eKYCなら早ければ即日、場合によっては数分で本人確認が完了します。

また、企業にとっても送られてきた多くの書類を整理したり保管したりする業務が減り、その分のコストを削減することができます。様々な申し込みに手間や時間がかかると顧客の離脱につながることがありますが、手軽に行えればそれを防止できるというメリットもあります。

また、eKYCによる容貌確認は成りすましなどの不正防止にも役立ちます。eKYCでは事前に保存していた顔写真の使用ができず、手続きの際にリアルタイムで撮影した写真しかアップロードできません。加えて免許証の厚みが分かるように撮影したり、まばたきや首を振ることを求めたりするなど、ネット上で手に入れた画像が利用できない仕組みも取り入れられています。

さらに、これらの本人確認判定をAIが担うことで、大幅な時間短縮・コストカットが実現されました。高度な画像認識システムによって、撮影された顔写真と本人確認書類の顔写真が一致するか判断され、書類の厚さも判定されます。そのうえでスタッフの目視確認によって不正を防ぎ、効率的で安全な本人確認を可能にしているのです。

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住所変更や口座開設だけじゃない eKYCと企業間連携で広がる事例と課題

eKYC

すでに様々な業界がeKYCを導入しています。例えば、中古品の買い取り時やオンライン銀行の口座開設、携帯電話の契約、チケット等を購入する際の本人確認などでeKYCが採用されています。このシステムを利用した企業同士が連携すれば、今後、手続きが煩雑な引っ越しや遺産相続など、活用場面もさらに広がるでしょう。

もっとも、便利なeKYCも、免許証やマイナンバーカード、パスポートなど、顔写真が登録されている身分証明書を所持していない人は利用することができません。そして、スマートフォンやパソコンなどにeKYCに対応したアプリをインストールしなければならず、さらに身分証明書の文字を読み取る際はピントの合った写真を撮影する必要があります。住所変更や改姓手続きをしたことが裏面に記載されている場合はAIによるeKYCが使えない場合があるなど、いくつかの課題が残っています。

加えてeKYCにはアプリやツールが何種類かありますが、正式なツールではないものも出回っています。より安全な本人確認をするためには安全性が確保されていて、事業者から求められる正式なeKYCサービスを利用すべきです。

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eKYCの導入で高まるオンライン手続きの利便性と安全性

様々な手続きがオンラインで行えるようになると、本人確認をスピーディに処理できるeKYCが導入されたサービスは、今後さらに増加していくことでしょう。一方、ネット犯罪が後を絶たない今、本人確認の方法はより厳格でありながら、便利性の高さと両立することも求められています。


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【執筆】ユピスタ編集部
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