ユピテルが提案する、ライフスタイルを豊かにする情報コラム

近年、HRテックに新しい動きが見られます。それが、メタバースやVR技術を人事業務に取り入れようという試みです。本記事ではどのようにメタバースが人事業務に活用されているのかを紹介します。メタバースやVRを採用活動や福利厚生に導入するメリットとは？さらに、メタバースが私たちの働き方をどのように変化させていくのか考えます。

採用活動から時には労務まで、とにかく多岐にわたる人事の仕事。それを効率化するために取り入れられているのが「HRテック」です。これは人事を意味する「HR（Human Resources）」と「テクノロジー」を組み合わせた言葉で、様々なサービスやシステムが開発・導入されてきました。使われる技術はクラウドサービスやAIが中心でしたが、近年になって新しく取り入れられているのがVR技術やメタバースです。

例えば、人事のコア業務である採用活動。具体的には会社説明会や就職イベント、就活相談などがメタバースで行われるようになっています。動画を見るより臨場感があり、web会議システムよりコミュニケーションがとりやすく、資料の紹介や閲覧も容易。知名度のない会社でも注目を集めやすく、企業のブランディングにも効果的です。

ある企業では、採用活動専用のバーチャルオフィスを作成しました。候補者は自身のアバターでオフィスを訪問して自由にフロアを見て回り、その企業の作成したコンテンツを閲覧したり、社員の雑談を耳にしたりしながらオフィスの雰囲気を感じることができます。数は多くありませんが、メタバースで面接を行う会社も登場しました。web会議システムと比較して、イベント性が高まる、カジュアルな雰囲気でコミュニケーションがとれる、外見にとらわれず判断ができるなどと好評のようです。

こうしたコンテンツの多くは特別な機器を必要とせず、手元にパソコンがあれば利用できます。顔を出さずに就職・転職活動を行いたい人や、エンジニアなどスキル重視のフィールドでは、メタバースでの採用活動は特に歓迎されるでしょう。

メタバースやVR技術を取り入れた人事の仕事は採用活動にとどまりません。他の業務でもHRテックが活用されています。

中でも活用が進んでいるのが、企業研修や教育の現場です。VRやメタバースは、シミュレーションにうってつけの技術。ある大手企業では、新入社員研修にメタバースでの交流を取り入れて話題となっています。メタバース上ではリアリティーのある距離感の中でのコミュニケーションが可能。とりわけコロナ禍に入社した社員の不安を取り除くために役立っているようです。こうした技術は、責任のある役職に就く社員のメンタルトレーニングにも利用できるのではと考えられています。また、VR技術を使った研修も一般的になってきました。さらには遠隔地の視察、避難訓練など有事に備えた危機管理、機械類のオペレーション訓練などにもVRやメタバースが活用されています。

メタバースはエンターテインメントも得意分野なので福利厚生の面でも活躍できます。VR機器の支給や購入費用の補助はもちろん、バーチャルな体験や旅行を提供することもできるでしょう。

このように、メタバースとHRテックは親和性が高く、人事の様々な仕事にメタバース活用の可能性が広がっています。テレワークが浸透し、私たちの働き方自体が大きく変わろうとしている今、こうした使い方はさらに増えると考えられます。

もちろん現段階では様々な課題もあります。アバターから話しかけることに抵抗を感じる人は少なくありません。ある企業は、アバターの顔部分だけをwebカメラにするなどの工夫をしていますが、よりコミュニケーションをとりやすいアバターの制作が必要かもしれません。また、常時オンラインで働いていると、連帯感や団結力、会社への帰属意識が薄れてしまいがち。そこで、社員同士が交流する機会を作ることも一層大切になります。もちろんVR機器を利用する場合は、使いやすい機器の開発・選択も求められます。そして何より、新しいテクノロジーの導入には、会社全体の理解と協力が不可欠。時間をかけた準備や全社的な研修も行わなければなりません。

最近では人事の仕事に限らず、業務自体をメタバースで行う企業も増えてきています。メタバースで仕事をすることにより、時間や距離にとらわれない自由な働き方が可能になります。メタバース上ではプロジェクトの管理や顧客へのプロモーションもより簡単で効果的に行えます。

ユピスタでも以前ご紹介しましたが、VR機器や通信環境などの技術向上によって、より多くの仕事がオンラインで可能になるでしょう。メタバースを視野に入れたHRテックは、これからのオフィスでは必須のアイテムになるかもしれません。

☆あわせて読みたい
・テレワーク環境が進化中。VRを使ったバーチャルオフィスも登場
・メタバースで注目のデジタルツイン！ネットショッピングの未来が変わる
・AIと画像認識で進化？スマホで本人確認eKYCの非対面オンライン契約にかかる期待

メタバースを使った就職活動や、アバターを使った採用面接などは、企業のダイバーシティ化を推し進めるきっかけになるかもしれません。テクノロジーを通して、働き方改革を実現し始めているメタバース。未来の新しい働き方は、もう始まっています。

☆あわせて読みたい
・xRという世界！仮想現実や拡張現実が新たな価値観を生み出す
・Web3.0とは一体何か？話題のメタバースとは何が違うのか
・Web3.0を知る3つのキーワード。メタバースだけではないブロックチェーン技術