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スマホのプラチナバンドはどう違う?4G/LTEや5Gとの関連は?周波数帯をおさらい

2024.11.11

携帯電話回線のプラチナバンドの普及が進んでいます。と言っても、スマホを利用する際にどの周波数がどう関係しているのかを考えている、という人はあまり多くないかもしれません。そこで、プラチナバンドと4G、5Gの関係は?周波数の帯域が変わると通信にどんな影響があるの?など、プラチナバンドのメリット・デメリットを解説するとともに、スマホをもっと快適に使うための便利な周波数帯域についておさらいします。

プラチナバンドとは?安定したスマホ通信にこの帯域が必要な理由

スマートフォンで使われている周波数の範囲(バンド)は、700MHz〜40GHzです。プラチナバンドはその中でも700MHz〜900MHzという、ごく狭い特定の周波数帯です。

電波はKHz→MHz→GHz→EHzと、波長が短くなるにつれて直進性が強くなり、通信速度が速くなる一方で障害物に遮られやすくなります。一方、波長の長い低周波数帯は通信速度が落ちますが障害物に強く、屋内や地下などにも電波が届くという性質があります。特に800MHz前後は「回折(かいせつ)」という特性に優れています。これは電波がビルなどの障害物を回り込んで進むという特性のことで、この周波数帯を使えば広いエリアで安定した通信が可能となります。

つまり、700MHz〜900MHzは通信にとって非常にバランスの良い周波数帯であり、その帯域が狭いことによる価値と重要性を「プラチナ」という言葉で表すようになりました。通信事業者にとってこの貴重なバンドを使用できるということは、自社が提供する通信の安定性をアピールするのに役立つので、ぜひとも持っておきたい帯域なのです。

スマホで使用する周波数帯は細かく区切られ、総務省によって通信事業者に割り当てられます。従来、プラチナバンドが割り当てられていたのは通信大手の3社だけでした。この割り当てはいったん決まると毎年自動的に更新されるのが慣例となっていましたが、近年は新規参入した通信会社にも認められて大きな話題となりました。

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周波数?高速?LTE(4G)や5Gはプラチナバンドとどう違う?

プラチナバンド

プラチナバンドが特定の周波数帯を指すのに対し、LTE(4G)や5Gは割り当てられた周波数帯の中で、より効率的に大容量の高速通信を行う技術を指します。

LTE(4G)に割り当てられている周波数帯は、プラチナバンドである700MHzから3.5GHzまで。5Gに割り当てられているのは3.5MHz以上です。それぞれの周波数は性質が異なっており、通信会社はいくつかの周波数を組み合わせることで、安定した高速通信を実現させています。

例えば、5GではLTE(4G)で使用する周波数帯に加え、6GHz未満の「Sub6」と、28GHz前後の「ミリ波」を利用します。Sub6は電波が遠くまで届きやすく、ミリ波は高速通信が可能です。5Gは高周波の電波を含めたより広い帯域を使うことで、車線の多い道路のように大量のデータを高速で送れるようになりました。

そして、さらには送受信ビームの形をコントロールするアンテナ技術、信号を送信する時間をコントロールする技術、多くの端末を同時に接続する技術などが加わり、4Gの10倍の通信速度と10分の1の遅延を実現したのです。

2030年頃の実現が期待されている6Gには、「サブテラヘルツ波」と呼ばれる90G〜300GHzが使用されるようで、周波数帯は5Gの10倍以上に。ますます高速化・大容量化が進み、通信エリアの拡大も予想されています。

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利用には注意点もある? プラチナバンドのメリット・デメリット

プラチナバンド

プラチナバンドを使うと到達距離が長くなるので、山間部などでの通信に適しています。また、障害物にも強いので都会の建物内や地下でも威力を発揮します。

ただ、プラチナバンドに対応していない端末もあるので購入時には確認が必要です。自分のスマホがプラチナバンドに対応しているかどうかはメーカーサイトから確認できます。バンドが「8、18、19、26」のいずれかならば、プラチナバンドに対応しています。通信事業者のHPにはプラチナバンド対応エリアも掲載されているので、自分の住んでいるエリアでプラチナバンドがつかめるか、参考にすることもできます。

ただし、高周波数帯を使用する5G等に比べると、プラチナバンドは大容量データのやり取りに不向きです。動画やゲームをスムーズに楽しむには、プラチナバンドだけだと限界があります。ところが、混雑している場所などでいったんプラチナバンドをつかんでしまうと、その周波数帯だけで通信が継続されてしまうことがあり、そうするとどうしても「ネットが重い・遅い」と感じます。

通信速度が遅いと感じる時にはスマホの電源を入れ直す、機内モードをオン・オフするなどして接続をリセットしてみましょう。それでも同じ現象が繰り返されるようなら電話番号を2つ持つことができるデュアルsimの利用を考えてみるのも良いかもしれません。

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周波数帯の性質を知って自分に最適なスマホを利用

プラチナバンドと他の周波数帯を使った通信は、補完し合うことで快適な通信を可能にしています。どんな場所でもストレスなくインターネットを利用するには、自分の通信環境や端末との相性を考え、スマホやプランは上手に選びたいものです。

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【執筆】ユピスタ編集部
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