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免許返納?進化する自動運転は高齢ドライバーを救えるか

2023.1.30

いま、世界中で開発が進められている自動運転。世界の、そして日本の開発はどこまで進んでいるのでしょうか。また、自動運転が普及したら私たちの社会はどう変わるのか。特に免許の自主返納に注目が集まる高齢ドライバーへの影響は?
自動運転をめぐるこれからの展望について考えます。

自動運転は夢の技術?世界が注目する自動運転の技術と進化とは

自動運転の機能を搭載したクルマの登場は、誰もが思い描く「未来の夢」のひとつ。しかしその夢を実現へと導くためには、広範囲にわたる高度なテクノロジーが必要です。周囲の状況を把握するための画像認識技術については以前にもご紹介しましたが、クルマの各パーツはもちろん、AI、高速大容量の通信技術、さらには位置情報などを確認するための人工衛星の開発まで、世界の企業が研究を進め、しのぎを削っています。

ところで、日本は自動運転の開発レースでどの位置にいるのでしょうか。「自動運転車対応指数(AVRI)」を見ると、2020年現在で日本の世界ランキングは30位中11位。名だたる自動車メーカーを抱える日本にしては、やや意外な順位に思えますよね。でも、例えば1位のシンガポールでは、すでに国内エリアの10分の1で自動運転の実験走行が可能な状況になっています。充電ステーションの数は、今後も莫大な予算の投入により、2030年までに17倍まで増やす予定だとか。自動運転車に向けた環境整備が進んでいますね。2位のオランダは、自動運転に関する「政策と法律」面で、また「EV充電ステーションの密度」や「道路の質」で高評価を獲得しています。また、4位のアメリカには自動運転関連企業の44%が本社を置いているなど、「テクノロジー」の面で一歩先んじています。

一方、日本では法改正によって2020年4月からようやく「自動運転レベル3」のクルマが公道を走れるようになりました。レベル3のクルマとは、「一定の条件下において運転者の操作が不要」なものです。運転者の操作は不要ですから、自動運転中はハンドルを握っていなくても、それどころか車両周辺に注意を向けていなくても良いとされます。もちろん、車両が自動運転を継続できないと判断すれば、すぐに運転手はそれに対応しなければなりません。
国の示すロードマップでは、2025年を目途に「高速道路の入口から出口まで自動運転が可能な、レベル4の市場化」を目標としています。レベル4の自動運転は運転手がいなくても走ることができるものです。早ければ今後の数年でレベル3からレベル4の自動運転が社会実装されることになりそうです。

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AIの進化でさらに加速!自動運転で変わる社会とは

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完全な自動運転が実現したら、社会はどう変わるのでしょうか。まず確実なのは運転がラクになるということです。そもそも運転そのものをする必要がなくなるのですから、移動している車内での時間は食事やメイク、睡眠などに充てることができますし、そういった需要に合わせて自動車の内装もずいぶん変わるに違いありません。加えて、安全性も今よりはるかに向上します。交通事故の97%はヒューマンエラーによるもの。すべてのクルマが自動運転で走行するようになれば、ほとんどの交通事故を防ぐことができます。しかもAIのディープラーニング技術で安全性は年々向上。交通事故が無くなれば、クルマ関連の保険も安くなるでしょう。

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移動・輸送・流通にかかる費用(主にドライバーにかかる人件費)も、自動運転によって大きく削減できます。人口の少ない地方では、多くの公共交通機関が赤字のため、減便や廃止の危機にありますが、そうした問題も解決されるでしょう。もちろん、超がつくほど人手不足な流通業界にとっても朗報です。さらに、すべてのクルマが自動運転で走行することで最適なルートが選択されるようになると、渋滞も緩和されて環境負荷の低減につながり、環境という観点から見ても良い影響がもたらされます。

しかし、自動運転にもデメリットはあります。自動運転の実現で人件費が削減されるということは、仕事を失う人が増えるということ。また、常に自分の車がどこにいるか、つまり自分の位置情報を把握されることによるプライバシーの問題も指摘されています。万一の事故における責任問題を含めた法整備の問題も多く、テクノロジーの開発とともに、こうした問題をひとつひとつ解決していくことが必要でしょう。

免許返納しかない?高齢ドライバーを救う運転支援システムと未来の自動運転車

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自動運転は高齢者にも大きな恩恵をもたらします。近年、免許の自主返納が促進され、毎年約50万人の高齢者が免許を返納するようになりました。まだ返納していない高齢ドライバーも、その7割以上が「返納の予定がある」と回答しています。しかしその一方で、免許を返納するとたちまち生活に困る高齢者も。実は免許返納率には地域によって大きな差があり、東京や大阪では6%近いのに対し、三重県はその3分の1。公共交通機関が充実していないエリアでは、クルマを手放すと生活がとても不便になってしまいます。

しかし安全に移動できる自動運転車があれば、こうした問題も解決します。ある調査では、タクシーが自動運転になると、料金は今の10分の1まで下がるのだとか。さらに自家用の自動運転車が開発されれば、そもそも免許を返納する必要さえありません。自動運転車に乗って高齢者はよりアクティブに行動できるようになり、心身の健康など副次的な効果も期待できます。

もちろん、こうした未来が実現するまでには、まだしばらく時間がかかるでしょう。しかし、現在でも高齢者がより安全に運転するための自動運転機能は日々進化しています。政府主導で普及を促進している「セーフティ・サポートカー(サポカー)」はそのひとつ。サポカーには、障害物を感知すると自動でブレーキがかかる、アクセルとブレーキを踏み間違えた時の急発進を抑えるといった機能が搭載されています。2022年5月からは、運転できる車をサポートカーに限定した「サポートカー限定免許」がスタートしました。今後はレベル3、レベル4の自動運転車が開発されていくにつれ、高齢者の、より安全な車移動にも期待が高まりそうです。

QOLを上げる!自動運転は高齢ドライバーの健康にも役立つ技術

自動運転は社会の安全性を向上させ、交通弱者を救い、環境にも優しい「夢の技術」です。自動運転のクルマが一般化すれば、とりわけ地方在住者や高齢者への大きなメリットが期待できます。山積する課題を解決しつつ、自動運転の一刻も早い実現を楽しみにしたいものです。


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【執筆】ユピスタ編集部
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