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スピード違反に注意!罰金や点数次第で免停も 生活道路の法定速度変更へ?

2024.8.5

2026年9月に生活道路の法定速度を時速30kmに変更するという方針で法律の見直しが進んでいます。住宅街の狭い道路で起こる歩行者や自転車と車の衝突事故は後を絶ちません。でも、なぜ生活道路の最高速度は「時速30km」に制限されるのでしょうか。スピード違反による点数や反則金(罰金)などをおさらいしながら、生活道路における安全について考えます。

ゾーン30では不十分? 生活道路の法定速度引き下げの背景

スピード違反

このたび、警察庁は生活道路の法定速度を時速30kmに引き下げる方針を決定しました。法定速度とは速度標識がなくても守らなければならない最高速度のことです。これまで高速道路以外の道路における法定速度は時速60kmでした。つまり、速度標識がない一般道路は時速60kmまでなら出しても良いことになっていたわけですが、これが改正されれば生活道路は時速30km未満で走行しなければスピード違反ということになります。

「生活道路」は明確に定義されていませんが、センターラインや中央分離帯などがなく、幅5.5m未満の狭い道路が対象となる予定です。国土交通省によると、歩行者や自転車に乗っている人が死亡する交通事故は、半数が自宅から500m以内で起きているそうです。その多くは生活道路で起こった事故でしょう。また、生活道路で死傷する人の多くは小学生や、75歳以上の年配者という痛ましいデータもあります。

2011年には、特定エリアの最高速度を時速30kmとする「ゾーン30」が制定されました。また、2021年には道路上に凹凸を付けるなどして自動車の速度を物理的に落とす「ゾーン30プラス」が整備され、一定の成果をあげています。それでも車が住宅街で歩行者に突っ込むといった重大な交通事故はなくならず、交通弱者を守るためのさらなる対策が必要とされてきました。この改正は早ければ2026年9月に施行される見通しです。

速度制限と交通事故に見る致死率の関係 時速30kmへ法定速度を見直すのはなぜ

生活道路の法定速度は、なぜ「時速30km」に見直されるのでしょうか。自動車の速度が時速30kmを超えると歩行者の致死率は大きく上がることが理由のひとつにあります。生活道路を対象にしたある調査では、車の時速が30km未満の場合、人対車の致死率は1%以下ですが、30kmを超えると3%に上がり、40kmを超えると8.4%、50km以上では17%と急上昇することが明らかになりました。

路面の状態や搭乗者の数などによる違いはあるものの、車が危険を察知しブレーキをかけた時に効き始めるまでの反応時間はおよそ1秒前後といわれます。さらに、そこから完全に停止するまでの距離(制動距離)は、速度が上がるにつれて伸び(速さの2乗に比例)、計算上では時速20kmなら9mで止まれるところが、30kmになると14m、40kmでは停止までに22mもかかってしまいます。雨の日やドライバーが疲れている時、この距離はもっと伸びてしまうでしょう。

また、走行中のスピードが上がると、ドライバーは視野が狭くなり、どうしても危険に気づくのが遅れてしまいます。信号や横断歩道、カーブミラーなどが設置されていない生活道路はたくさんありますし、日本は海外に比べて歩道の整備も遅れていると言われています。ドライバーと歩行者の双方にとって危険が大きい生活道路について考えた時に出てきたのが、「時速30km未満」という車の速度なのです。

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スピード違反の反則金と点数 一発免停は何キロオーバーから?

スピード違反

「生活道路の法定速度30km」が施行された後にそれ以上の速度で生活道路に侵入すれば、もちろんスピード違反となります。スピード違反をした場合は、30km以上オーバーといった大きな違反でない場合は、反則金を支払うことで裁判に至ることなく処理されます。もし、一般道路(生活道路)でスピード違反による取り締まりを受けたとしたら、1〜14kmオーバーで違反点数が1点増えて反則金は9000円です。当然、もっとスピードが出ていたら反則金はより高くなります。

スピード違反

引用:「交通違反の点数一覧表」(警察庁)を加工して作成

この違反点数が6点になると30日間の免許停止、15点になると免許取り消しの対象となります。ちなみに30kmオーバーなら6点なので、いわゆる「一発免停」になるわけですが、これはあくまで前科がない場合の話。駐停車違反や信号無視違反などをはじめとした様々な反則行為に対する違反点数は3年間累積されていくので、それまでに何度か違反を重ねていると数キロのスピード違反でも免停や免許取り消しとなる場合があります。見通しが良く人や車が少ない走り慣れた生活道路では、つい以前と同じスピードが出てしまうかもしれませんが、今後は時速30km未満の速度で走行することに慣れる必要があります。

また、例え時速30km未満で走っていたとしても、交差点で徐行しないなどの運転を行っていると、安全運転義務違反に問われることがあり、その場合は2点+9000円の処分を受けます。交通規則や標識がなくても周囲の状況に応じてさらにスピードを落とす、確認をしっかり行うなど、常に安全運転を心掛けることが必要です。

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歩行者の多い生活道路では、ドライバーにいっそうの注意が求められます。生活道路の法定速度引き下げは交通弱者である歩行者の保護だけでなく、スピード違反や事故の危険からドライバーを守るための改正でもあるといえるでしょう。

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【執筆】ユピスタ編集部
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